RAZARTE PRO 誕生秘話

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あれから6年の時が流れた・・・

2011年3月11日 東北を未曾有の地震が襲い、RAZARTEの大切なパートナー工場の宝生機工が被災した。
2001年にチタン製のレザルテの開発がスタートした時、特殊なチタン素材を加工できる会社が見つからず、ようやく探し当てた職人気質の水沢市のこの社長だけが何も言わず希望する加工を引き受けてくれた。
腕は確かで頑固一徹のこの社長は、中途半端な仕事が嫌いだった。その意味では世界一のレザーを創るのを目標にしているレザルテとはとても相性が良く、完成するまでには数え切れないほど工場に通った。レザルテを世に出した生産パートナーメンバーたちは2003年にグッドデザイン賞を受賞し、2008年には米国専門誌「SALON PLUS誌」のTOOL OF THE YEAR賞を受賞するなど世界中の注目を浴び始めていた。

 

東日本大震災・・・

その日の地震と津波、そして福島原発の事故は東北の人たちの生活ばかりか、仕事や夢をことごとく奪っていった。
それはレザルテの技術を世界中に広めようとしていた矢先だったレザルテの開発メンバーとて同じだった・・・

「山本さん、今回は大型加工機械がみんなやられちまったから、復旧は無理かもしれないよ。」珍しく弱音を吐いた。
山本はやむなく生産の休止を宣言して工場の復旧を待つ事にした・・・
米国のパートナー会社のHAIRART社はスタイリストたちからの要望に応える為に、廉価版のレザルテの生産を開始した。ステンレス製の廉価版は、もちろんオリジナルには及ばないものの、他のレザーに比べたら充分な性能で、米国を中心に世界中でレザルテの技術は普及し始めた・・。

待つ事5年・・・、宝生機工の社長から連絡があった。
「新たな設備を導入して工場を再建するのは諦めた、レザルテの加工を引き受けてくれる友人を探したから生産を再開しよう・・・」
15年前の立ち上げで苦労した事を思い出したが、再生産できる事が嬉しかった。

そしてノウハウを受け継いだ瀬谷工作所が新たなパートナーとして加わった。
秋田県工業技術センターの紹介で、今回から素材は広島県のCASTEM社からTi-6Al-4Vという特殊な医療用チタン合金の素材
が手に入る事になった。

その高価なチタン合金の素材はMIM(粉末射出成型)という最高精度の技術で生み出される。
小さなパーツが多いMIM加工品では、レザルテのサイズの生産をするのはCASTEM社でも初めての事だという。
新たに治具を開発し、10カ月後に最初の量産試作素材30本が納品された。しかし二次加工ですべてがNG品となった。
これまでと同じ型を使っていても素材の質の違いから、様々な問題が発生しているようだ。
何度も量産試作を重ねてようやく完璧な素材が届くようになったのは1年以上が過ぎていた。
この加工中に検査落ちになった素材は200本を超えた。

このTi-6Al-4Vというチタン合金素材について触れておこう・・・
レザルテは1987年には最初の製品がすでに世に出されていた。
なぜこのような道具の開発に手を染めるようになったのか、詳細は以下の物語風レポートをご覧ください。
開発物語(初代編)
NEW RAZARTE 開発物語
RAZARTE 国際化プロジェクト



それまでステンレス製だった量産品のレザルテが理想を求めた結果・・・
2001年にチタン合金が手に入り、ついにレザルテが完成の域に到達した。(写真左端)

この時にチタン合金を選んだ大きな理由は重さだった・・・
ステンレスでは重すぎて切れ味は良くても繊細さに欠けていた。
かといってアルミニウムでは軽すぎて感触が悪かった。
これについての山本の説明がユニークである。

「車重の重いセダンでドライブするのと軽自動車でドライブするのと同じ移動距離、走行速度でも乗り心地は大きく違う。スポーツカーの乗り心地がもっとも自分に合っていて、様々な要素が加わって運転が楽しい。それと同じで、レザルテのチタン合金の重さが他では得られない高品質な使用感が得られるのである」

そんな理由もあってチタン合金を選んだのだが、引き換えに、硬い素材の為に切削や研磨時の温度が高く加工が難しいのであった。その硬質の高級素材は宇宙開発やジェットエンジンのパーツにも使われていた。さらにはその生体親和性に優れた特徴から人工骨や人工関節に使われるほど安心な金属なのであった。
現在手に入る素材で最も良いと思われるこのTi-6Al-4Vを選んだのであった。軽くて硬く錆びない金属である事から、関係者の中ではなんと100年ツールと呼ぶ事さえ大げさではなくなった。

RAZARTEは最初に世に出てから30年の時が流れて、道具としての進化もさる事ながら、使い方に関する技術もまた熟成されていた。
今回生産が始まったレザルテ・プロは、この道具を使う特殊な作法を十分理解・会得したベテランの理美容師の為だけに調整を加えたものだ。
全てをここで公開するのは控えるが、全体重量でわずか5gスリムになっているだけではなく、その切れ味に凄みを増している事は以前からレザルテのユーザーだった方ならば感じるはずだ。

レザルテの仕上げ加工は高級シザーズを製造している東光舎の職人水上氏が初めから担当している。素材の成分が変わった今も名人の仕事は冴えていて、力を入れずに技で切るテクニックを会得したプロ美容師のために、これまでよりもさらに切れ味重視の味付けが施された。
さらに今回からは東光舎の協力で、購入した美容師が自分の名前をレーザープリントできる事になった。所定の用紙に必要事項を記入して一緒に工場に送れば1週間程で送り返してもらえる。
その費用も\3500
(+税・送料)とリーズナブルになっている。

 

レザルテは美容師が一生使い続けることが可能なプロ用の逸品として完成した。
金属加工の専門家がびっくりするほどのクオリティを実現した。

中国製の廉価版は日本でも\18000-で手に入ることから、オリジナルのPROは最高級の仕上げにこだわった。なぜならば、これから理美容師が大切にするお客様が求めるのは、道具も最高のものを選ぶ技術者で、自分に投資できる技術者だけがこれからの時代を切り開くと思うからである。
下はパッケージの紹介だが、シリアルナンバーと連動した製造証明書が添付されている。
この証明書には、素材と切削加工、研磨加工、開発責任者、が連名で証明している。
世界でもっともクオリティの高いツールを生産する企業の心意気が伝わるはずだ・・・

美容師が生涯使えるのがレザルテである事を鑑みれば、一人前になってから手に入れるのも若い初心者の時から手に入れるのも結果は同じ、早くから良い道具に触れる方が仕事は楽しい。
ただし美容師の仕事を長く続ける自信のない技術者にはオーバークオリティである事は確かだ。

技術の完成・教科書の出版
PROの量産が最終試作段階に差し掛かった2016年の暮れが迫ってきた頃、新美容出版の長尾会長から開発チーム代表の山本に連絡が入った。実際に切るところを見たいという事で、早速カットウィッグを持って六本木にほど近い新美容本社を訪れた山本は、会長の前でその特徴的なカットアングルからはじまり、すべてのテクニックを披露し、そして同席した関係者全員にカットの体験をしてもらった。世界のトップスタイリストの仕事を見慣れている皆が一様に、これはレザーカットではない・・・、別次元のカットツールである。という事を理解してくれた。

レザルテの魅力を会長に伝えたのは故人となっているケネス・ヒスミ氏だった。
氏は第3回のケネスフォークス主催のカットコンテストで優勝した事から、事あるごとに山本に力を貸してくれていた。そのケネス氏が10年ほど前に長尾会長に伝えていた事が今回の出版のきっかけとなった。

暮れからお正月にかけて技術教本の撮影と編集・出版作業が進んだ。
新しいテクニックと考え方がある事から、レザルテ語録が作られた。そしてこれらを総称してレザルテの作法と呼ぶ事になった。30年かけて熟成された作法が小さな技術教本にまとめられた。

テクニックの一つ一つがDVDで動画で確認できるのも丁寧だ。テキストには山本が米国でカットアングルを説明するときに活用しているアングルゲージも添付された。
これだけの内容で1800円という価格は、これを教科書として世界中の美容師の手に届けようという出版社の心意気が伝わった。



全国の勉強熱心な美容師の皆さまへ・・・
是非新しい時代のヘアカットを感じてください・・・!!

貴方の美容師人生が大きく変わるはずです・・・

 

追記:
これまでにチタン製のレザルテを購入された皆様へパーツ供給のお知らせ。(対象はシリアルNo.0001〜No.3000)
ボルトとレンチを無償サービスでお届けしております。
レザルテ本体の耐久性はまだまだ問題ないはずですが、もしボルトに緩みやガタが生じているものは是非お取り換えする事をお薦めします。日本国内の限定ですが、ご希望の方はレザルテジャパン宛に切手を貼った返送用の封筒をお送りください。

開発メンバー 一同より

(有)レザルテ・ジャパン 開発部
住所: 010-0875 秋田市千秋明徳町2-74

e-mail : yamamoto@0009.jp
 (RAZARTE JAPAN 開発チーム 担当 山本)