NEW RAZARTE 開発物語

世界一のレザーを作ろう!・・・第15巻

2002/6/15

完成直前のサンプル

月曜日の朝、東光舎からTelが入った。

「最終ではありませんがサンプルが完成しましたヨ・・・」

山本は早速、岩手に向かった。

今回は只の打合せではない。

カットウィッグと用具一式を携えて、実際の切れ味を確認するつもりだ・・・・。

工場長は、チタンの量産加工の出来る会社が見つからず、随分苦労していたようだ。

「まだ加工の精度は100%ではありませんが・・・、」と言いながら山本の前に差し出されたチタンのRAZARTEは

黒光りする綺麗な仕上がりだった。

加工の注意点を確認したあとで、いよいよ試し切りが始まった。

同じ替刃を使い、旧タイプの切れ味との違いを見る為、交互にカットウィッグに刃が入る・・・

「うん、悪くないですネ・・・」

重量が1/2になった分、切れ味に影響が出ないかと内心不安を抱えていた山本の危惧は吹っ飛んだ・・!!

手にも良く馴染み、しかも違和感のない適度な重量感、

ひと回り小さくなった事で、山本の大きなゴツイ手には幾分物足りなさがあるが、

世界の大多数の技術者の手は山本より小さいはずだから問題ない。

「私もウィッグになりた〜い・・・!!」

傍らで仕事をしていた東光舎のスタッフが試験台(カットモデル)を申し出てくれた。

「よろしく・・・!」

山本は営業と同じペースでカットに取りかかる。

思っていた通り、切れ味は悪くない・・・!

それどころか、旧タイプよりも切れ味が洗練されている。

この事は、刃先を包み込む本体の加工精度が高い証拠である。

本体の重量軽減と切れ味の向上・・・

この相反する二つの課題を加工精度を上げる事でクリアしたのだ。

チタン合金を採用する事で重量を減らした。

粉末成形を採用して精度を上げた。

しかしそのお陰で、並の工場では手に負えない難しい加工を高精度で仕上げる事が求められた。

戸田精工と東光舎の技術陣は山本の「世界一のレザーを造りたい・・!」の

かけ声に見事に応えてくれた。

東光舎では、このサンプルを基に、さらに精度を上げた量産のサンプルの製作に取りかかった。

今度は表面の磨き加工の仕上げ方法を決める。

鏡面仕上げかはたまたツヤ消しのブラスト仕上げか・・・?

これは切れ味とは関係ないが、指に馴染むのはどちらか?

綺麗なのはどちらか?

楽しみにして待つ事にしよう・・・


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